国土交通省は下水道管路の適切な管理に向け、具体的な技術基準づくりに着手した。有識者会議で下水管路点検の頻度や方法、維持管理のしやすい構造を議論。年内に検討成果として中間整理をまとめ、施設を管理する自治体に示す。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けた対応。事故の未然防止と下水インフラの持続的な維持管理体制の構築を目指す。
国交省は21日に都内で「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」の初会合を開いた=写真。冒頭、委員長に就いた森田弘昭日本大学生産工学部教授は「八潮市で発生した道路陥没事故は、下水道管路マネジメントの在り方を見直す契機になった。検討会で下水管路の具体的な管理基準を定めていく。忌憚(きたん)なく意見を交換したい」と述べた。
検討会では、国の「下水道事業のストックマネジメント実施に関するガイドライン」や、下水道協会が作成している「下水道維持管理指針」「下水道管路施設ストックマネジメントの手引き」など、管理関係の基準を包括的に見直す。重要事項は国の技術基準などに引き上げる。
現行の下水道法令で明確に定められていない下水道の点検結果に関連する診断基準、緊急度判定も議論を深化。点検頻度の引き上げや点検手法の高度化を促す。
初会合では、現行の技術基準の整理と検討の方向を確認した。出席した委員からは「過去の異常事例をエビデンスとして具体的な基準を定める必要がある」「破損リスクの高低を踏まえて、メリハリのある点検基準を設けるべきだ」などの意見が出た。
老朽化した下水道管路が破損し、道路が陥没する事故は全国で発生している。交通や市民生活に深刻な影響が出ており、早急な対応が必要になっている。国交省はこれまで、確実な点検や適切な更新を自治体に求めてきた。だが、八潮市の事故を契機に維持管理基準を明確にすることが急務になった。2回目の会合は9月下旬~10月上旬、3回目は10月下旬~11月上旬に開く予定だ。