国交省/標準労務費作成へ一戸建て住宅で実態調査/15工程で歩掛かり把握

2025年8月25日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、公的な歩掛かりがない一戸建て住宅関係の職種を対象に、「労務費に関する基準(標準労務費)」を作成するための実態調査を始めた。複数の施工現場で細かな作業別に要した時間・人数を把握。建て方や解体など15工程ごとに調査結果の平均値を集計する。これを標準的な歩掛かりとし、公共工事設計労務単価と掛け合わせて標準労務費の素案を作成する。非住宅関係の職種でも、国交省直轄工事の歩掛かりの適用がそぐわないケースなどで、調査結果の転用を視野に入れる。
 標準労務費は、職種ごとに「設計労務単価×国交省直轄工事で用いる歩掛かり」での作成を基本とする。直轄工事の歩掛かりがない住宅関係の職種では、計算式に当てはめる歩掛かりを新たに実態調査を通じ、導き出す方針だ。関係業界団体が参加する意見交換会で議論を重ね、歩掛かり設定の細分化の程度や実態調査の実施方法を固めた。
 調査対象は木造の在来工法に限定し、木造枠組壁(ツーバイフォー)工法やプレハブ工法は含めない。JBN・全国工務店協会と全国解体工事業団体連合会(全解工連)、全日本瓦工事業連盟(全瓦連)からそれぞれ推薦を受けた施工会社が手掛ける工事現場計25件程度で調査する。
 標準労務費の作成単位は、一般的な一戸建て住宅の新築工事に必要な作業が含まれる15工程ごとを基本にする。前工程に当たる▽解体▽仮設▽基礎▽足場▽建て方▽防水▽板金・屋根▽外装-の8工程と、後工程に当たる▽断熱・気密▽造作▽内装仕上げ▽設備(電気)▽同(給排水・ガス)▽美装▽外構-の7工程で歩掛かりの実態を把握。国交省が委託した民間調査会社や施工会社が、各工程の作業の一つ一つで所要時間と人数を実測する。
 15工程で把握する標準的な歩掛かりの一部は、非住宅関係の標準労務費の作成に転用可能とする。非住宅関係の職種でも一戸建て住宅と作業が似通い、転用が有益なケースが想定される。解体と基礎、防水、屋根、外装、造作、内装仕上げ、外構で調査結果の転用を予定する。