淀川水系芥川など計6河川(大阪府高槻市、京都市)が6月20日に「特定都市河川」に指定されたことを受け、近畿地方整備局や大阪府、京都府など関係11機関が「芥川流域水害対策協議会」(会長・齋藤博之近畿整備局長)を設立した。25日に高槻市役所で初会合を開き=写真、水害対策の基本的な考え方などを確認した。2026年度中にハードとソフトの対策を盛り込んだ「芥川流域水害対策計画」を策定する。
対象は高槻市と京都市西区にまたがる芥川と支川の女瀬川、真如寺川、西山川、東山川、田能川の6河川で、流域面積は約50平方キロ。流域は1917年の大雨(大塚切れ)をはじめ、幾度となく浸水被害に見舞われてきた。芥川と流入する支川は流域内の市街化が著しく発展したため、大規模な河道拡幅などが困難な状況にある。
既に流域では国や大阪府、高槻市が河道掘削や河道拡幅、堤防補強工事、雨水貯留・流出抑制施設の整備などを進めている。芥川改修に伴い、大阪府と高槻市、JR西日本の3者は最下流部に位置するJR京都線芥川橋梁の架け替えも検討中だ。
流域水害対策計画の基本的な事項は▽計画期間▽水被害対策の基本方針▽都市浸水の発生を防ぐべき目標となる降雨▽都市浸水想定-の4項目。これに基づき、河川・下水道管理者や地方自治体、民間事業者などが行うハード・ソフトの対策を盛り込む。計画期間は策定から20~30年間程度。
浸水被害対策は▽氾濫をできるだけ防ぐ・減らす▽被害対象を減らす▽被害を軽減する-の三つの視点で進める。ハード面では河道掘削や下水道整備、雨水貯留浸透施設の整備、農業用施設の老朽化対策などを想定。ハザードマップ更新や防災教育などのソフト対策に加え、貯留機能保全区域の指定なども検討する。
初会合には近畿整備局の福渡隆河川部長、高槻市の濱田剛史市長、大阪府の美馬一浩都市整備部長、京都府の奥野真章建設交通部理事らが出席した。濱田市長は河川整備の促進に期待を寄せ、「市も流域治水の取り組みを着実に進める」と決意を表明。福渡河川部長は「計画策定に当たっては流域で実施中の水害対策とうまくオーバーラップした形で全体がまとまるようにしたい」と話した。