飛島建設は建設機械の稼働状況を可視化し、二酸化炭素(CO2)排出量を高精度で自動算出するシステムを開発した。重機のキャビンなどに専用の振動センサーをマグネットで取り付け、登録済みの型式情報を選ぶだけで運用可能。正確な定量データをウェブ上でまとめて把握できるようになる。稼働時間を手作業で記録していた従来に比べ、誤入力を防ぎつつ作業時間を大幅に短縮する。国内の土木2現場、建築1現場で本格運用を始めており、今後、対象現場を拡大する。
振動センサーはIoTBank(東京都新宿区、曲亮社長)が開発。単1電池3本を電源とし、防じん・防水機能を備える。同社の位置情報把握サービス「ジオピタ」のセンサーを応用した。もともとは子どもや高齢者を見守るために開発されたが、現在は車両管理などにも活用が広がる。
新システムは振動センサーとクラウドサーバー、ウェブアプリで構成。機械の稼働をセンサーが感知し、データをサーバーに90秒間隔で送信する。型式ごとに設定した「排出原単位」に基づいてCO2排出量を自動計算し、リアルタイムに可視化する。排出量は帳票として出力できる。
パソコンやスマートフォンで管理できるウェブアプリは、機器や重機の一覧などの画面で構成。稼働状況は日・月単位で切り替えて確認できる。1時間ごと、1日ごとの稼働率もカラーバー形式で分かりやすく表示する。環境負荷に限らず、機械のアイドリング時間の見直しや稼働率の低い機械の特定にも役立つ。
今後は得られた実際のデータを分析し、建設現場単位でのスコープ1(自社による温室効果ガスの直接排出)削減計画を策定したい考え。将来的な社外展開を視野に入れ、統合的な排出量管理プラットフォームにデータを出力できる仕組みを想定している。