国土強靱化を巡る政府の2026年度予算概算要求は、当初予算比24・6%増の6兆6583億円となった。このうち公共事業関係費は20・6%増の4兆9094億円。26年度の国土強靱化予算は、この計上額とともに、26年度からの「第1次国土強靱化実施中期計画」で特に推進が必要な114施策に対する「おおむね20兆円強程度」の一部とで編成作業が進む。経済対策に伴う25年度補正予算が編成される場合、計画の初年度分が計上される可能性がある。
概算要求額は内閣官房国土強靱化推進室がまとめた。府省庁の要求額は▽内閣府342億58百万円▽宮内庁1億50百万円▽警察庁426億24百万円▽こども家庭庁96百万円▽デジタル庁0百万円▽総務省178億14百万円▽法務省324億63百万円▽外務省30億74百万円▽文部科学省3208億54百万円▽厚生労働省3億21百万円▽農林水産省7091億8百万円▽経済産業省388億9百万円▽国土交通省4兆3950億78百万円▽環境省958億45百万円▽防衛省9678億44百万円。
全国460カ所の陵墓などの老朽化対策(宮内庁)、防災産業の国際展開(内閣府)、学校施設の耐災害性強化(文科省)、農業水利施設等の耐震化など(農水省)、流域治水の加速(国交省)、上下水道施設の戦略的維持管理・更新(同)、駐屯地・基地施設の機能強化(防衛省)などが挙がっている。
要求額の全体の約65%は国交省が占める。文科省は前年度予算の倍以上となった。裁量的経費を2割増で要求できるルールを最大限活用したり、新規事業を組み込んだりした府省庁がある。当初予算比24%超の要求になったことに関し、内閣官房の幹部は「国土強靱化に対する姿勢が示された」と受け止めている。
第1次国土強靱化実施中期計画は、計画期間内に実施すべき326施策や、推進が特に必要となる114施策で構成する。114施策には府省庁が当初予算ベースで取り組む事業もある。同計画では114施策に関し、当初予算とは別枠で5年間の事業規模としておおむね20兆円強程度を手当てする。府省庁の概算要求には、金額を示さない事項要求の事業や施策が複数あり、各事業・施策の予算額とその別枠分が予算編成の過程で議論されていくことになる。国土強靱化関係の税制改正要望では、内閣官房主管で財源確保策も検討される。