この夏の暑さは、どうやら人間だけでなく植物にもこたえているようだ。直射日光を避けたベランダに多肉植物を並べているが、普段は外が好きなはずの彼らも、どうにも元気がない。水のあげ方を変えたり、風通しを工夫したりと、しばらくは“猛暑対応”が欠かせない▼実は、あまりの暑さに植物が光合成できなくなることがあるらしい。水分の蒸発を防ごうと葉の気孔を閉じてしまい、光合成に必要な二酸化炭素(CO2)が取り込めなくなるという▼そんな植物の仕組みをヒントにした「人工光合成」の研究が進んでいるのをご存じだろうか。環境省は2日、その実用化に向けた工程表を公表。2030年までにCO2を分解する技術を実用化し、40年には製品の量産につなげたい考えだ▼人工光合成が実用化すれば、工場が排出するガスから航空燃料やプラスチック、化粧水の原料まで作り出すことができる。しかも製造過程で新たなCO2を出さないというのだから、まさに脱炭素の切り札といえそうだ▼まだ課題は多いと聞くが、一つ一つ乗り越えて、いつか「CO2は資源」と呼ばれる時代が来るかもしれない。