皆既月食もあった8日、地域のシンボルである灯台が夜間に公開された。月明かりに照らされた海と、水平線の先まで届く灯台のまっすぐな光が重なり、幻想的で心に残る光景を描き出した▼この日は15秒ごとに閃光(せんこう)を放つレンズの仕組みも公開され、満月と灯台を並べて撮影する人の姿もあったそう。航海の安全を支えるインフラの存在が、多くの人に改めて伝わったに違いない▼灯台は障害物の位置を示す灯標や、入港針路を知らせる導灯と並ぶ航路標識の一つ。海上保安庁によれば、全国に5108基ある航路標識のうち、灯台は最多の3103基を占めている▼同庁は2026年度予算の概算要求で、航路標識の維持管理に42億3百万円を計上した。さらに、金額を示さない事項要求の国土強靱化対策には、航路標識の耐災害化と老朽化対策を盛り込んだ▼国際情勢の緊張で保安能力を強化する予算が増す。決して目立つ存在ではないが「工事を伴う航路標識の整備も重要だ」と会計担当者は語る。海を行き交う船舶を守るため、各地の灯台がこれからも輝き続けるのに必要な予算確保は、決して欠かせない。