学生らによる設計コンクール「建築新人戦2025」(主催・実行委員会、総合資格学院)の公開審査が14日、大阪市内で開かれ、野畑遥さん(法政大学3年)の作品「建築家なしの創造」が最優秀新人賞に選ばれた。野畑さんは東長崎(東京都豊島区)の街を題材に、商店や階段、路地の壁に描かれた絵など建築家が介入していない「街の記憶」に着目。これらに配置プランを与え、それぞれの創造が相乗する空間設計を提案した。審査委員から「自然発生的な空間言語を吸い上げて住民同士のコミュニティー醸成につなげていく手法が新しい」などの高評価を受けた。
建築新人戦(実行委員長・光嶋裕介氏、協賛・日刊建設工業新聞社ら)は建築を学ぶ3年生までの大学生や専門学校生らが授業で制作した課題作品を対象に毎年開催している。17回目の今回は全国から1010点が応募登録し、うち716作品が寄せられた。上位100点を選ぶ1次審査を経てこの日、大阪市北区の梅田スカイビルで最優秀作品を決める公開審査を行った。
審査委員は委員長の西沢立衛氏(横浜国立大学大学院Y-GSA教授)をはじめ、岩元真明氏(九州大学大学院准教授)、木村吉成氏(大阪芸術大学准教授授)、榊原節子氏(榊原節子建築研究所)、山内朋樹氏(京都教育大学教授)が担当。最初に上位16作品を選出し、さらに上位8作品に絞り込んだ。学生らは映像や模型で設計趣旨などをプレゼンテーション。審査委員は設計意図や着眼点を聞いて感想を述べ、作品の斬新性などを探った。
審査委員はそれぞれ上位3人に投票。最高得点9点を獲得した野畑さんの作品が最優秀新人賞に輝いた。
表彰式では、西沢審査委員長らが賞状や副賞などを入賞者に手渡した。
野畑さんは「最優秀を受賞できて大変光栄に思う。建築新人戦の関係者をはじめ周囲の皆さんに感謝しながら、これからも研さんを重ねたい」と語った。
総評で西沢審査委員長は「作ることや考える喜びが感じられる作品が多く、共感できるアイデアも多かった。将来は責任に伴い重圧もあるが、負けずに頑張ってほしい」とエールを送った。
最優秀以外の入賞者は次の通り(敬称略)。▽作品名=氏名(学校名)。
【優秀賞】
▽本の市ライブラリー=小林奈央(青山製図専門学校)
▽吉祥寺的町家=古賀圭花(武蔵野美術大学)
【ベスト8】
▽Composition=石坂剛志(日本大学)
▽履歴の家=柿沼瑞幸(東京電機大学)
▽ヘヤとニワ、ニワとヘヤ=清水陽次郎(横浜国立大学)
▽弱さが生み出す居場所=山崎天翔(京都美術工芸大学)
▽交錯する水景=渡辺徹(日本大学)