国交省/下水道管路の全国調査進捗公表/72キロが緊急度I判定

2025年9月18日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省は17日、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け実施している下水道管路の全国特別重点調査で進捗状況を公表した。調査対象は腐食や損傷が生じやすいと判定された優先実施箇所で、全国128団体が管理する約813キロ。8月時点で全体の約9割に相当する約730キロの調査が完了し、最も危険度の高い緊急度Iと判定されたのは72キロに達した。国交省は対象自治体に1年以内の対応を求めた。=2、4面に関連記事
 緊急度II(応急措置を実施した上で5年以内の対応が必要)と判定されたのは約225キロだった。空洞は全国で6カ所確認され、うち4カ所は既に対策済み。残る2カ所は陥没する可能性が低いものの、早急な対応を要請している。
 調査対象のうち、残る優先実施箇所は月内の完了を見込む。全国特別重点調査全体(約5000キロ)の完了は来年2月末までを予定している。
 調査では、ドローンやリモコンカメラによる目視確認に加え、貫入試験による空洞調査も実施。国交省は自治体に対し「作業者の安全確保を最優先した上で、早期の修繕・改築を求めている」としている。
 今回の調査結果で、71の地方自治体(うち市町など52団体、流域下水道を管理する道府県19団体)に緊急度Iの下水道管路が存在することが判明した。
 同日開いた「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委員長・家田仁政策研究大学院大学特別教授)の第8回会合では、重点調査の分析と対策を議論した。会合後、報道機関の取材に応じた家田委員長は「今回の結果は極めて深刻に受け止めなければならない」と強調。合わせて「必要に応じて、緊急度Iの中でも対応の優先順位をつけるべきだ」との考えを示した。
 埼玉県行田市で発生した下水道点検作業中の死亡事故にも触れ、「作業者の安全確保こそ一丁目一番地だ。企業任せにせず、発注者も常に安全への意識を持つ必要がある」と訴えた。