大林組は、建物の二酸化炭素(CO2)排出量を予測するシステムを機能拡張した。資材製造から施工段階までだった予測の対象範囲を広げ、新たに施工後の使用・運用や維持保全・更新、解体に至るホール・ライフ・カーボン(WLC)全体を網羅する。建物の仕様が未確定な計画初期段階からWLCの算出と削減対策効果のシミュレーションが可能になり、より早い段階から効果的な対策を検討しやすくした。
24日に発表した。2023年12月に「カーボンデザイナー」として開発した建物CO2排出量予測システムの機能を拡張。予測範囲が施工段階までにとどまる従来の予測機能では資材の数量情報を入力する必要もあり、建物の仕様が未確定な計画初期段階では活用しにくかった。
機能拡張版では、▽建物用途▽延べ床面積▽工事請負金額▽工期-の4項目の情報を入力すると、大林組の施工実績や算定ノウハウ、公的データに基づきWLCを即時予測できる。着工から解体まで時系列で予測することも可能にした。4項目以外の詳細情報の追加入力にも対応し、検討の進捗に応じて予測精度を高められるようにした。
さらに低炭素資材や軽油代替燃料の採用などの削減対策メニューや割合・数量などを設定すると、WLCの削減効果を自動計算してグラフにする。基準建物との比較を自動計算する機能も強化。さまざまな対策メニューの組み合わせによる削減効果を即時に予測、把握できるようにした。
同社は機能拡張したカーボンデザイナーを積極提案、建物の計画初期段階からWLCを削減しやすい環境構築に貢献していく。