鹿島/無垢スギ材つなぎ合わせ1・5時間耐火/中低層S造建築物で普及めざす

2025年10月2日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は中低層S造建築物で、無垢のスギ材を使用し1・5時間耐火を実現する木質耐火被覆工法を開発した。鋼管柱を囲うように無垢のスギ材をつなぎ合わせる。耐火性能を持たせながら木目が見える外観で機能美が演出できる。9月に兵庫県姫路市で竣工した事務所ビルに初適用した。木質空間などが求められるさまざまな用途のプロジェクトに提案する。
 新工法の「Tie-KaSOLID(タイカソリッド)」は、スギの大径木から切り出した厚さ60ミリの無垢大型板「KaSOLIDR(カソリッド)」と、同6ミリの不燃材「ケイカル板」を一体化している。鋼管柱(550ミリ)と組み合わせで1・5時間耐火の性能を確保。2024年12月に国土交通大臣認定を取得した。特許出願済み。300ミリの鋼管柱も性能評価試験に合格しており、年内に大臣認定を取得できる見込みだ。
 化粧材として見ても、一般的な集成材との比較で自然な質感が表現でき、伝統的な木造建築に調和する。スリムな外径の柱にすることも可能だ。コの字状に一体化した耐火部材を柱の両側から挟み込む簡易な施工方法を採用。上端を鋼管柱、コンクリート床に下端をボルトで固定すれば取り付けが完了する。作業の時間や量を減らし、メンテナンスや交換も容易だ。
 神姫バスの姫路本社ビル(兵庫県姫路市、S造7階建て延べ3405平方メートル)で初適用した。鹿島によると、国内には戦後に植林し伐採適齢期を過ぎて大径木になったスギが多く残る。小径なスギに比べて需要が少ない。資源循環や脱炭素などの観点から、大径木のスギを有効活用する方法として同工法を開発した。