東洋建設/CO2固定化実証実験始動/衣浦3号地最終処分場で、事業スキーム構築へ

2025年10月2日 技術・商品 [10面]

文字サイズ

 東洋建設は9月30日、愛知県武豊町の海面最終処分場で、場内にたまった水(保有水)に二酸化炭素(CO2)を固定化する実証実験を開始した。アルカリ性の保有水にCO2が溶けやすい性質を利用する。水温や水素イオン指数(pH)など季節によって溶解量や溶解速度が変動するため、実験を通じ保有水のpHと溶解速度の関係を把握する。併せて溶解速度を速める方法も検証する。2カ年で実証実験を進め、CO2固定化の事業スキーム構築を目指す。
 実証実験の名称は「CO2回収・固定化プロジェクト」。カーボンニュートラル(CN)の実現など環境分野の課題解決に向け、愛知発の環境イノベーションを創出・実装する革新的なプロジェクトとして県が認定、実証フィールドの提供・紹介などを支援する。実験場所は、衣浦3号地廃棄物最終処分場の管理型区画。埋め立て処分を行っている愛知臨海環境整備センター(アセック)が実証フィールドを提供した。
 焼却灰や汚泥などを搬入しているため保有水はアルカリ性となっている。CO2は廃棄物から溶け出したカルシウムと結合、炭酸カルシウムとなり水底に沈殿し貯留される。
 実証実験では、保有水に沈めた円筒状のアクリル製容器(CO2溶解用カラム、直径50センチ、延長4メートル)に、ボンベから高濃度CO2を充填、加圧することで効率的に溶解させる。カラムで溶解したCO2はファインバブル発生装置で拡散する。電力は発電機を暫定利用しているが今後、太陽光発電装置に接続する。高濃度CO2も将来的には周辺の工場や発電所から回収して使用する予定。年間150~200トンの固定化が目標。そのほか、搬入灰へのCO2固定化なども検討しており年間1000トンの固定を目標としている。
 管理型海面処分場へのCO2貯留が可能になると、埋め立て地盤や排水が一定の中性化が図られることで処分場の早期安定、跡地利用の促進につながる。東洋建設土木事業本部土木技術部の山崎智弘部長は「全国初の取り組み。管理型海面処分場は全国にある。実証実験を通じ技術を確立したい」と話した。あいち環境イノベーションプロジェクトを推進する県環境局環境政策課の担当者も「愛知発の技術として成果を広くアピールしていきたい」と期待を寄せた。