防衛省/27地区の事業にECI方式適用/工期短縮やコスト抑制に効果

2025年10月7日 行政・団体 [1面]

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 ECI方式を巡る防衛省の取り組みが進んできた。全国の駐屯地・基地など283地区の施設を更新する最適化事業のうち24地区と、佐賀駐屯地など3地区の事業で実施中。最適化事業は5地区で工事契約を結んだ。受注者からの提案が工程の平準化や工期の短縮、自衛隊部隊と周辺の影響緩和、コスト抑制などに生かされている。防衛力整備計画に基づく施設整備などで同方式を適切に活用していく。
 最適化事業では、24地区のうち実施設計が完了した5地区で工事契約を終えた。20地区は設計、技術協力の業務を契約済み。工事は2024年度に4地区の契約を締結。25年度は1地区が契約済みで、15地区の契約を予定している。同事業以外は、佐賀駐屯地の整備、陸上自衛隊高等工科学校の各自衛隊共同化・男女共学化事業(武山駐屯地)、北大東島への移動式警戒管制レーダー等配備事業で同方式を活用している。
 受注者の提案や協議で部隊活動への影響を抑える工程の調整、交通渋滞対策やプレハブ化、設備機器のユニット化などが措置されている。佐賀駐屯地整備事業は、厳しい工期だったものの、オスプレイの移駐に必要な施設を6月までに完了した。地盤改良を早める工法を採用し、一部は建築構造を見直した。駐機場の舗装には、工期やメンテナンスなどを考慮した結果、プレキャスト鉄筋コンクリート版(PCaRC版)を使った。
 武山駐屯地の事業は、部隊運用の都合から大規模な工事を短期間に集中して行う必要がある。一部の建物にはPCaコンクリートを適用。海上運搬のために仮設桟橋を設置した。仮設計画には防音パネル、渋滞緩和策の提案を取り入れ、28年度の共同化・共学化に向けて1月から工事を行っている。北大東島の事業は離島の工事になり、海上運搬、仮設ヤード、作業員宿舎に関する提案を取り入れ設計している。
 ECI方式に関し、防衛省は「事業の着実で円滑な進展」(担当者)につながる効果を期待する。部隊を運用しながら工事を行う駐屯地や基地があり、事業の規模、工期に応じた整備計画の立案も求められるため、同方式な最適な運用を追求していく。