国土交通省は、新技術の研究開発や現場実装を後押しする国の研究機関や地方整備局の機能を強化する。国土技術政策総合研究所(国総研)などに、大学やスタートアップと連携し研究開発を推進する「マネジメント機関」の役割を持たせる。各整備局には個々の現場ニーズに応じた技術選定を支援し、工事発注を担う出先事務所に新技術の導入を促す「技術支援組織」を構築する。2026年度からの次期「国交省技術基本計画」に政策メニューとして盛り込む。
3日開いた社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)・交通政策審議会(交政審、同)技術分科会技術部会で次期計画の骨子案を提示した。
計画全体の目標として産学官の連携や異分野からの参入を促し、多様な組織が協働・共存する「イノベーション・エコシステム」の確立を核に据える。これをベースに技術関係の基準や規制など既存制度の改善と、官民の人材確保・育成につなげる。従来計画よりも、分野横断的に技術の開発・実装を支える仕組みづくりに重点を置く。
新たに提案するマネジメント機関は、自前での研究開発が主体だった国総研や、土木研究所などの国立研究開発法人の役割を拡張するイメージで検討する。政策ニーズに合致した研究開発の公募や支援に加え、現場実装までのノウハウ蓄積や技術相談に当たる。技術支援組織は、各整備局の技術事務所などの機能強化を想定する。現場ニーズから適切な技術を比較・評価し、検討成果を発注書類に反映させることで、新技術の実装と発注担当職員の負担軽減の両立を目指す。
これ以外の政策メニューとして、技術関係の公募・支援制度の情報やデータベースを一元化したプラットフォームを構築。民間企業や金融機関が技術政策の全体像を把握可能とし、研究開発投資を促進する。建設業界など国土交通分野の人材育成の支援も強化する。若手技術者の活躍を後押しする仕掛けづくりなど、公共調達でのインセンティブ強化を検討する。