全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と都道府県建設業協会、国土交通省による2025年度地域懇談会・ブロック会議が8日、東京都内で開いた関東甲信越地区の会合を皮切りにスタートした。業界側は老朽化するインフラ整備や、26年度から始まる第1次国土強靱化実施中期計画を着実に推進するために公共工事予算の拡充や建設業の柔軟な働き方、熱中症対策に対応した積算基準の見直しを要望。建設工事における最低制限価格の算定基準率の引き上げなども議論した。
同日のブロック会議は、10都県の建設業協会で構成する関東甲信越地方建設業協会(会長・青柳剛群馬県建設業協会会長)が主催。木下修副会長(長野県建設業協会会長)が青柳会長のあいさつを代読し「建設業に時間外労働の上限規制が適用され2年目。どういった働き方、時間管理が大事か、本年度は制度そのものを見直す時期になってきた」との認識を示した。「地域ごとに問題意識は変わってくる。意見交換会で出た議論を協会活動に役立てる」と国交省との議論に期待を寄せた。
今井会長は「地域建設業が地域の守り手として役割を果たし続けていくには、地域ごとの安定的・継続的な事業量の確保が不可欠だ。諸課題解決に向け政府与党への働きかけを行う」と強調した。国交省の橋本雅道関東地方整備局長は「業界の抱える共通問題の解決に向け双方でさまざまな支援でより良い環境を構築したい」と建設業界との議論に意欲を示した。
公共工事予算の拡充に向け、神奈川県建設業協会(渡邉一郎会長)は26年度から始まる第1次国土強靭化実施中期計画の取り組みを着実に推進するために、25年度補正予算で20兆円強の2分の1が公共事業費と想定した場合の5分の1にあたる約2兆円を上回る予算を措置するよう要請した。
建設業の柔軟な働き方に向けて、群馬県協が時間外労働の上限規制緩和を要望した。長野建協は熱中症対策で言及。施工歩掛かりの見直しや施工時間帯の変更など柔軟な対応を求めた。
新潟県建設業協会(福田勝之会長)は、国交省の「建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」の十分な議論を求めた。茨城県建設業協会(石津健光会長)は建設従事者の適正な賃金確保に向け、人件費部分は積算単価額を全額受注者が受け取れる制度への改正を提案した。