回転窓/海辺の街の灯ろう

2025年10月9日 論説・コラム [1面]

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 漁港に隣接した海辺の商店街で先週末、夜市に合わせた「灯ろうナイトウォーク」が開かれた。大漁旗の老舗工房と地元の小学生が製作した灯籠が、やわらかな光で通りを照らした▼地元の飲食店や物販店が海産物を生かした料理などを提供。大人も楽しめるイベントなどもあり、心地よい秋風に吹かれながら、温かな明かりに包まれた夜の港町の散策を多くの人が楽しんだ▼この夜市は、コロナ禍で中止されていたが、昨年5年ぶりに復活。大阪・関西万博でも話題になった「ワンハンドフード」を企画し、「ワンコイン」もテーマに加えた。街歩きをしながら片手で食べられる500円メニューが多く並び、気軽に味わえる工夫が光った▼商店街ではコロナ前から閉店が目立っていた。夜市ではシャッターを閉じた建物の軒先も店舗として活用。以前は8月に開催していたが、猛暑を避けて昨年から10月に変更した▼夜市は17回目。親となって子どもと訪れる人も少なくないという。にぎわいづくりや観光振興に苦労する商店街は多いが、活気はアイデアと工夫次第。灯籠と行き交う人々の笑顔が、それを教えてくれた気がした。