JR山手線のホームで列車を待っていると、見慣れない車両が滑り込んできた。ヘッドマークに「環状運転100周年」の文字。4日に運行を始めたばかりの「山手線環状運転100周年記念ラッピングトレイン」だった▼山手線の歩みは1885年、品川~赤羽間の品川線開業に始まる。1909年には池袋~田端間の豊島線と統合され、電化の完成とともに「山手線」と命名された▼1925年に上野~東京間の高架線が開通し、都心を1周する現在の姿が整う。生糸を横浜に運ぶ貨物線だったが、東京の発展とともに、人と街を結ぶ大動脈へと成長していった▼道路や鉄道などの基幹インフラは、互いにつながってこそ真価を発揮する。能登半島地震では幹線道路がダメージを受け、被害状況の把握や応急復旧が難航した。教訓を踏まえ、途切れた区間=ミッシングリンクの解消を急ぎ、巨大地震に備える必要がある▼JR東日本は「つながる」をテーマに、100年企業とのコラボや鉄道・地域の魅力を伝える多彩なイベントを展開中だ。会期は11月3日まで。人と街、過去と未来を結ぶ鉄道の輪は、これからも走り続ける。