新聞記者は常に締め切り時間と格闘しながら原稿を書いている。取材メモを基に内容を整理し、限られた時間でふさわしい表現方法や言葉を吟味し記事を仕上げる。どんなに重要な情報でも、締め切りを過ぎれば翌日の紙面には載らない。小欄もかつて、その現実を痛感した一人である▼締め切りが毎日あるわけではないにせよ、多くの仕事には納期が伴う。期日を守れなければ取引先や関係者に迷惑をかけるばかりか、信頼関係を損ねかねない▼ビジネスの世界には〈段取り八分、仕事二分〉という言葉がある。日頃から準備を怠らなければ、ミスも最小限に抑えられる。さらに言えば、予期せぬトラブルにも柔軟な対応が可能になる▼もちろん能力には個人差があり、どんな仕事でも一人で完璧にこなすのは難しい。負担を分散し、チームで支え合う工夫が求められる。そのためには日常的なコミュニケーションが欠かせない▼そして何より大切なのは〈締め切りを必ず守る〉という自己認識だ。時間は有限であり、使い方は結局、自分次第。賢い時間術は誰かに教わるものではなく、自らの経験で磨くものだと肝に銘じたい。