高知県/和食ダム(芸西村)が竣工/本体施工は大成建設

2025年10月21日 行事 [13面]

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 高知県が芸西村を南北に流れる2級河川和食川上流に建設を進めていた和食ダムが竣工を迎えた。堤体コンクリート打設中に左岸側基礎地盤内部にダムの基礎地盤に適さない節理面を広範囲に確認。対応策として掘削形状変更や堤体延長の増加などを余儀なくされ事業が長期化した。2013年10月に本体建設工事に着手して以来、約12年の歳月を費やし水害や水不足の解消につながる地域悲願のダムが完成した。大成建設が本体工事を担当した。
 19日に関係者約50人が出席し現地で竣工式を開いた。浜田省司高知県知事は「浸水被害が軽減され、流域の安全・安心が向上する。水道や農業用水の安定した供給により地域のさらなる発展につながれば」と期待を述べた。松本巧芸西村長は「水害と水不足という相反する水問題に苦しんできた村民にとって悲願のダム」と完成を喜んだ。
 梶原大介参院議員、廣瀬昌由国土交通省技監が祝辞を述べた。豊口佳之四国地方整備局長、和田茂明大成建設執行役員四国支店長らが列席した。
 完成したダムは堤高51メートル、堤頂長131・5メートル、堤体積7万0400立方メートルの重力式コンクリートダムで総貯水容量は73万立方メートルを誇る。和食川の洪水調節、水道用水、農業用水の安定供給、自然環境の保全に必要な流量確保を目的に03年度に事業着手した。全体事業費は約169億円。天端からは太平洋を望める。八千代エンジニヤリングが本体設計、地質解析などを手掛けた。
 和食川沿川では台風や集中豪雨による浸水被害が多発。1989年8月豪雨では和食川沿いに広がる住宅地や農地、国道が浸水するなど甚大な被害が発生した。渇水により幾度も断水や給水制限が発生し、流域や生活に深刻な影響を与えてきた。