札幌市/大谷地流業務団地高度化ビジョン改訂/アクセスサッポロ跡活用し施設更新

2025年10月22日 行政・団体 [6面]

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 札幌市は21日、「大谷地流通業務団地高度化ビジョン(改訂版)」を公表した。老朽化する施設の更新や、大型化が進む物流施設の再整備など同団地全体の再編に向けた用地として、後継施設整備が進む札幌流通総合会館(アクセスサッポロ)の跡地を活用する方針を示した。今後は施設更新・再整備を望む立地企業らへの支援を行いながら、持続可能な物流の構築を目指す。
 白石区流通センター1dにある大谷地流通業務団地は、高速道路のICや国道12号などに近接し、札幌都心部まで車で25分と、内陸に位置する流通業務団地としては交通利便性が高い団地になっている。約145ヘクタールの地域内にはJR貨物の札幌ターミナル駅を内包し、卸売業や運送業、倉庫業など200社近くが立地する。
 1967年の造成から約58年にわたり、物流の拠点とし道民生活を支えてきた。しかし市が22年に行った調査では、団地内の施設246件のうち70年代以前に建てられた施設が37・0%の91件と最も多く、将来にわたり大谷地流通業務団地の物流機能を維持していくためには、老朽化した施設の更新が課題となっている。
 今回策定した改訂版では、団地全体の将来ビジョンの柱に▽北海道のハブ機能を担う拠点▽持続可能な物流に対応した拠点▽札幌・北海道の地域経済を発展させる拠点-の3項目を設定。必要な施策としては、ハブ機能の強化・発展に向け、ストックポイント機能や外国貨物を保管する保税倉庫機能、流通加工機能などの強化を図ることを明示。さらにこれらを実現するため、老朽化施設の建て替え需要に合わせて物流施設の大型化を推進する。
 市が23年に行った調査では、施設更新の意向がある18事業者のうち8事業者が「施設更新の意向はあるがめどが立たない」と回答しており、このうち半数の事業者が「用地が見つからない」ことを理由に挙げている。
 こうした課題を解決し、今後の施策を着実に推進するため、アクセスサッポロの跡地を団地の高度化に向けた施設更新用地として有効活用するとともに、施設更新・再整備を望む企業や団体への関与・支援を行う方針を打ち出している。