厚生労働省は、建設業退職金共済制度(建退共制度)の見直しを検討する。勤労者退職金共済機構(勤退共)の建設業退職金共済事業本部が設置した有識者検討会の取りまとめを踏まえ、複数掛け金の導入をはじめとする制度の在り方を議論。労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)の専門部会に考えを示す。
23日の労政審勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会(山本眞弓部会長)で、方針を明らかにした。建退共制度は単一掛け金が前提で、複数掛け金の導入となれば、中小企業退職金共済法の改正が必要になり、同共済部会で対応が審議されていくことになる。
同日の会合では、労働者代表の長谷部康幸委員(全国建設労働組合総連合賃金対策部長)が、「取りまとめに基づき、最低でも退職金1000万円を実現する政策の実現、制度の安定的運用の引き続きの検討をお願いしたい」と問題を提起した。厚労省の安達佳弘雇用環境・均等局勤労者生活課長は、建退共制度を巡る精力的な検討に敬意を示した上で、「掛け金の複数化など制度についての意見もある。課題を整理の上、どういう形で対応するか真摯(しんし)に検討する。さまざまな角度から検討を行う」と応じた。予定運用利回りの引き上げについて調整していることも説明した。
取りまとめは、建設労働者の処遇を改善するため、技能・経験に応じた退職金を建退共制度から受け取れるよう、掛け金を上乗せできる複数掛け金制度の導入や、制度の民間工事への普及、元請と下請それぞれの見積書への費用の位置付けなどを求めている。掛け金を柔軟に設定できる仕様とすることなども盛り込まれた。
会合では、建退共制度を含む中小企業退職金共済制度の現状について審議し、大きな問題のないことを確認した。建退共制度の電子申請や、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携状況も報告された。高木朋代委員は「加入者、業界の利益になることはスピードを上げてやってほしい」と求めた。










