大林組/木造中規模建築の燃えしろ深さ自動計算ツール開発/算出時間8割短縮

2025年10月27日 技術・商品 [3面]

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 大林組が中規模木造建築物の準耐火構造提案を支援する計算ツールを開発した。建物の設計情報を入力したBIMモデルと連携。構造データの自動抽出で、火災時に燃える木材表面の炭化深度「燃えしろ深さ」が短時間で算出できる。中規模建築物の建て替えをターゲットに、木造実現評価を効率化する計算ツールを使った純木造ビルを提案していく。
 「SynchroMOK」として、BIMモデルと連携する燃えしろ深さの計算ツールを開発した。歩行の距離や速度などの基本的な避難情報を入力するだけで、必要な構造情報をBIMから自動取得して燃えしろ深さを短時間で算出。5階建て延べ2500平方メートル規模の場合、従来は計算に4時間弱がかかっていた。計算ツールを使用すれば80%減の30分程度に短縮できる。
 純木造中規模建築物の設計では、火災の規模や被害を抑え避難時に倒壊しないよう主要構造物に特別な安全性能を満たす必要がある。火災時倒壊防止性能検証法と避難時倒壊防止性能検証法に基づき、燃えしろ深さを計算することが規定されている。計算が複雑で中規模建築物を純木造で建てる大きな障壁になっていた。
 同社は、計算ツールが建築確認申請に使用できることを検証済み。自社開発の性能評価ツールとBIMパラメーター(属性情報)の連携をさらに強化し、設計作業の効率を高める方針だ。