◇超高層プロジェクトに積極提案
鹿島は、システム制御に電気を使わない建築物用の環境配慮型オイルダンパーを開発した。わずかな電力で振動エネルギー回生システムを制御する自社開発のセミアクティブ型制震オイルダンパーを改良。従来を大幅に上回る世界最高水準の制震効率も確保する。超高層ビルの建築プロジェクトに積極提案・適用していく。
電気不要の環境配慮型オイルダンパー「ハイダックス・アールイー」として開発。名古屋市中区で施工中の高層業務ビル「栄トリッドスクエア」(S一部SRC造地下1階地上19階建て塔屋3階延べ約4万0140平方メートル)に初適用した。
地震による建物の振動エネルギーを補助タンクに一時的に蓄える。ダンパーの制震効率を高めるために利用し、制御エネルギーに変換して高い制震効果を発揮する。従来は振動エネルギー回生システムに電磁制御弁を使用していたが、新タイプではすべての制御弁開閉に補助タンクの内圧変動を用いることで、ダンパー設置時の電気工事やダンパー監視機能のコントローラーが不要になった。防火区画に設置するケースでも特別な配慮は要らず、一般的なオイルダンパーと同様に設置できる。
電気不要のため停電の影響も受けず、維持管理での電気部品交換も不要になる。構造設計では電気不要前提で振動エネルギー回生システムの効果を反映でき、構造のさらなる合理化や安心・安全の確保に生かす。
従来を大幅に上回る制震効率も確保。発生頻度の高い震度4~5クラスの地震による揺れや長周期地震動などさまざまな地震に対応する。









