九州戦略会議/半導体産業集積/産学官拠点整備で政府に支援要望へ

2025年10月30日 行政・団体 [9面]

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 九州と沖縄、山口の9県の知事と関連経済団体でつくる九州地域戦略会議は28日に沖縄県名護市で会合を開き、半導体産業などが集まる産学官連携の拠点整備に向けた特区制度創設を政府に要望する方針で一致した。産学官連携の拠点は2029年度までに域内に5カ所整備することを目標に掲げる。進出企業に対する税制支援などを政府に求める考えで、「新生シリコンアイランド九州」の実現への取り組みを加速させる。
 同会議は新生シリコンアイランド九州実現に向けた中核的なテーマとして、半導体の生産・応用、トップ級の人材輩出を世界規模で先導する「イノベーション・マルチハブ」の形成を目指している。
 産学官拠点はマルチハブ形成の軸として構想。半導体の製造関連企業やユーザー企業、設計関連企業が複数立地していること、または立地企業が大学や研究機関と連携した研究開発、人材育成に取り組んでいることを拠点の定義としている。具体的な整備地域は未定。
 政府には進出企業への税制支援や用地整備に関する規制緩和、財政措置、特定適用を行う新たな特区制度創設を今後要望していく。産学連携の共同研究開発の促進制度も求める考えだ。
 九州では熊本県が3月、半導体関連産業や研究機関のさらなる集積を目指した「くまもとサイエンスパーク推進ビジョン」を策定。同県合志市、菊陽町などの複数の工業団地を軸に、企業や研究機関が共同利用できる拠点施設などを整備し、人口増加に対応する住環境、交通インフラの充実を掲げた。同会議としてもサイエンスパークの実現や、他地域との連携の促進にも取り組むとしている。