JR東海は29日、リニア中央新幹線の総工事費が従来の試算から約4兆円増加し、総額11兆円程度になる見通しを明らかにした。主な要因は、建設の資機材価格の高騰や人件費上昇、山岳トンネルでの難工事への対応など。経営に影響を与える場合は工事ペースを調整する。東京・霞が関の国土交通省内で同日会見した澤田尚夫中央新幹線推進本部長は「当初想定したよりももろい地山が出現した」などと説明した=写真。
 開業時期は「2035年以降になる」(澤田本部長)とした。リニア中央新幹線の総事工事費費は21年時点で、約7兆円と試算していた。物価高騰や人件費の上昇などを踏まえ工事費を精査した結果、従来予想を大幅に上回る見通しになった。
 増額の内訳は、コンクリートや鋼材、銅などの資材価格高騰が約2・3兆円、山岳トンネルの対策など難工事への対応が約1・2兆円。地震対策のためトンネル内の構造を見直す必要もあり、さらに約0・4兆円の増額となる。
 会見で澤田本部長は地山の安定化、トンネル補助工法の追加、掘削断面の増加など追加工事費について話した。名古屋駅の軟弱地盤対策、品川駅の構造の見直し、一部高架橋梁の基礎形式変更も必要になったという。地質調査の結果から、アーチ状の鋼材補強やロックボルト打設などを追加するトンネルもある。
 同社は、リニア中央新幹線の整備によって、東海道新幹線との輸送の二重系化を急ぐ。会見では、同新幹線の将来の経年劣化対策、南海トラフ地震対策を進める計画も説明した。
        




 
        
        





 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					 
					