政府経済対策の国交省施策案/国土強靱化で強い経済実現/物価高踏まえ規模確保

2025年11月4日 行政・団体 [1面]

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 政府が策定する「総合経済対策」で、国土交通省関係施策の方向性が明らかになった。高市早苗首相の検討指示を踏まえ、経済対策の三つの柱のうち「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」の具体施策で防災・減災、国土強靱化の推進を打ち出す。与党に意見聴取を始めた段階で、国土強靱化を含む公共事業全体で規模・事業量の確保を求める声が強くある。足元の物価高への対応として労務費確保の必要性や資材価格高騰の影響を考慮する考えを明記。建設業や物流業の賃上げ環境の整備も施策メニューに盛り込んだ。
 10月30日の自民党国交部会で説明した。与党と連携し施策を具体化し、政府として経済対策を決定後に2025年度補正予算案を編成。12月17日の臨時国会閉幕までの成立を目指す。
 国土強靱化施策は、▽流域治水などハード・ソフト両面での災害耐性・災害対応力の強化▽道路ネットワークの機能強化・局所対策▽上下水道など各種インフラの老朽化対策とメンテナンスの高度化・効率化-などを挙げた。自民国交部会では26年度からの「第1次国土強靱化実施中期計画」の前倒し実施の明文化を求める声があったという。道路網の「整備」に重点化した施策の充実や、港湾関係のメニュー追加の要請もあった。
 危機管理投資として経済安全保障に貢献するサプライチェーン(供給網)の強靱化や、エネルギー・資源安全保障を強化する省エネ住宅への支援などGXの推進を打ち出す。DXや技術開発支援、スマートシティーなどのインフラシステムの海外展開といった未来志向の投資拡大も掲げる。
 経済対策のほかの柱となる「生活の安全保障・物価高への対応」で地方の成長につながるインフラ整備・機能強化、「防衛力と外交力の強化」で米国関税への対応を挙げている。