関東整備局利根川ダム統合管理/25年夏の渇水で八ッ場ダムが整備効果発揮

2025年11月5日 行政・団体 [5面]

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 ◇8ダム+貯水池で取水制限回避
 関東地方整備局利根川ダム統合管理事務所が1級河川・吾妻川中流部にある八ツ場ダム(群馬県長野原町)を報道陣に10月24日公開した。塩谷浩所長が放流設備などを案内。2025年夏の渇水期に取水制限を回避できた要因などを説明した。
 6月以降、利根川上流域の平均降雨量は例年を下回る状況にあった。観測点である栗橋地点上流の8月降雨量は98ミリと、平年の47%にとどまった。取水制限の実施もあり得るレベルだったが、同事務所は「八ツ場ダムの貯水がダム群に加わったことが奏功した」ことで回避できたと分析した。完成前の渇水記録と比較すると、12年並みの制限が実施されていた可能性があるという。
 塩谷所長は「八ツ場ダムは20年度に運用を開始し、非洪水期利水容量は9000万立方メートルに達する。今夏は満水時の約14%まで貯水量が減少したものの、利根川水系の8ダムと渡良瀬貯水池を総合運用することで、取水制限が回避できた」と語った。
 同水系には試験湛水中の南摩ダムも控え、全体で約5億5000万立方メートルの利水容量が確保できるようになる。八ツ場ダムは約20%を担っている。