鹿島道路/空気だけでアスファルト微細気泡作るフォームドアスファルト技術開発

2025年11月5日 技術・商品 [3面]

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 鹿島道路は、中温化アスファルト合材の温度低減効果や施工性をさらに高める技術を開発した。空気だけで微細な気泡を作る世界で初めてのフォームドアスファルト技術。水を添加する従来方法に比べ、生成される気泡は粒径が非常に小さく数も多いため消えにくい。アスファルトの流動性を高めるベアリング(摩擦軽減)効果を長期間発揮し、締め固め性能が向上。製造温度の低減や二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献する。
 従来のフォームド技術は、高温のアスファルトに少量の水を高圧噴霧混合して水がアスファルトを発泡させる。泡のベアリング効果で作業のしやすさと締め固め性能が向上し、合材の製造温度を最大30度程度引き下げても品質や施工性を確保。合材製造時の燃料消費量を削減しCO2排出量も低減する。
 新開発した「エアフォームドアスファルト技術」は水を一切使わず、独自の再生用添加剤「エアプラス」を利用し空気だけでアスファルトに気泡を作る。生成される気泡の大きさは100マイクロメートル以下。従来技術よりもベアリング効果を長期間発揮し、製造温度の低減効果もさらに高まる。
 従来技術と同程度の合材価格を維持したまま、CO2削減量も1・5倍に向上させる。舗装施工時の養生時間も短縮し、1日当たりの施工量増大や夏季作業現場の働き方改革にも役立てる。製造温度を30度低下させた状態で2時間運搬しても良好な作業性と締め固め性能を確保。運搬距離も最大2倍拡大し、広域運搬によるプラント空白地帯への合材供給や災害復旧支援にも有効活用できる。
 同社は千葉県成田市にある成田合材製造所で、エアフォームドアスファルト技術を活用して計約1000トンの新規・再生・特殊合材を出荷している。通常温度の合材に比べ、低温状態でも製造の作業性は低下していない。出荷合材を扱う舗装工事の施工企業からは「寒冷期や遠方への出荷でも作業性と品質が確保できるのは、現場の大きなメリットになる」との声も寄せられている。
 同社の田中耕作執行役員技術開発本部長は「エアフォームドアスファルト技術を積極活用し、脱炭素社会の実現に尽力する」とコメントしている。