前田建設とダイハツ工業は6日、茨城県取手市にある前田建設のICI総合センターで、複数施設向けのマイクログリッド(小規模な電力網)システムの実証実験を始めると発表した。太陽光発電で電気をつくり、移動可能なコンテナにためて、複数施設で使う仕組み。実験データとノウハウを基に、実効性のあるサービスに展開する。実証期間は12月から2年を予定している。
同システムは太陽光発電、スマート・パワー・ハブ(SPH、豊田中央研究所とダイハツが共同開発した電力変換器)、バッテリー式電気自動車(BEV)、蓄電池などで構成する。通常時は電力のピークカットで二酸化炭素(CO2)排出量の削減に寄与。災害に伴う系統電力の遮断時にも電力供給を続け、公共サービスなどの継続を可能にする。
SPHと蓄電池を同じコンテナに収める。コンパクトで被災地などに運び、太陽光発電や風力発電など現地の再生可能エネルギーで電力供給が可能になる。さらにBEVを移動できる蓄電池として活用し、コンテナや複数施設間で電力を融通する。
実証フィールドはICI総合センター内にあり、廃校をリノベーションした研修施設「ICI-Camp」。太陽光発電でつくった電気を体育館と食堂に供給し、余剰電気は蓄電池やBEV商用軽バンのバッテリーに蓄電する。
平常時は日中一時的に電力のピークが高まる厨房に接続し、電力消費の平準化によるCO2排出量の削減効果を検証。災害などでの停電を想定し、太陽光発電や蓄電池で体育館に電力を継続供給し、避難所として安全・安心に使えるか確認する。
使用条件の異なる複数施設でシステムの実証実験を行い、信頼性を確認。その後、トレーラーでけん引できる20フィートコンテナを実際に移動させ、太陽光発電との接続による電力供給や、BEV商用軽バンを用いた複数建物間での電力融通も検証する。
両社は2023年に共創を開始した。同システムによる持続可能なエネルギー供給、BCP(事業継続計画)対応を実現するため実証実験を開始する。










