◇のり面の施工品質確保
建機レンタルの新光重機(千葉市中央区、中尾謙一郎社長)が開発した「のり面の転圧管理システム」の引き合いが増えている。専用バケットを装着した重機1台でのり面の整形、転圧、仕上げに対応できる。3Dマシンガイダンス(MG)を活用すれば精度の高い締め固めを着実に実施可能。施工情報、履歴を常時収集し、帳票として出力できる。重機の稼働時間や土の余掘りが減り、「脱炭素の効果もアピールしたい」(山本哲久取締役営業統括部長)という。
「3DMGターボ法バケ転圧管理システム」として、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録済み。専用バケットを備えた重機のレンタルを2024年6月に開始した。高速道路ののり面や河川の5現場で使われている。大手ゼネコンを含めて全国から問い合わせがある。
振動転圧の機能を備える専用バケットを独自に開発し、バックホウの3DMG、全球測位衛星システム(GNSS)を生かした。3D設計データに基づく平面、断面、縦面の3画面からオペレーターに施工情報を提供し、操作を支援する。締め固めの時間に応じて画面の色が変化。のり面全体の転圧時間が視覚で確認できる。
品質の基準となる締め固めの時間を管理する仕組みのため、施工の品質と信頼性が高い。車体、ブーム、アーム、バケットそれぞれのセンサーからの情報でバケットを正しい位置に誘導できる。設計データの許容範囲の外にバケットがある場合は、転圧を判定しない。施工の履歴は自動で記録され、パソコンから帳票として出力可能だ。
道路や河川、宅地造成など盛り土を構築する工事は多い。のり面の強度が不足した場合は、浸食、崩壊してしまう恐れもある。のり面施工の品質は、施工者の技術力に影響を受けやすく、端部の転圧は振動ローラーが横転するようなリスクもある。新光重機は顧客の要望を踏まえ、独自の施工システムとして開発に乗り出した。
品質が発注者から高く評価された顧客がいる。山本取締役は「積み上げてきたICT施工のノウハウを生かせた。大きな差別化になる」と話す。遠隔施工への対応など今後も現場のニーズに応える技術開発に力を入れる。実演や研修の拠点としている本社近くの「リンクフィールド」などで顧客に性能を積極的にアピールしていく。










