◇京都市発注の中山石見線道路改築現場
吉村建設工業(京都市中京区、吉村良一社長)と建設用3Dプリンターなどを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)は、京都市内で国内最大規模の建設用3Dプリンター施工を行っている。6日に現場見学会を開催し、日本で初となる重力式擁壁を現場で直接印刷するオンサイトプリンティングを実演した。
現場は京都市発注の「(総合評価)3・3・5中山石見線道路改築(その22)工事」で、重力式擁壁と笠コンクリートの施工に建設用3Dプリンターを活用。総延長は273メートルに及ぶ。工期は2024年8月21日~26年2月21日。通常は現場近隣の1次ヤードで部材を製造するニアサイトプリンティングを採用しているが、同日の見学会でオンサイトプリンティングを実演した。
現場では34歳の所長の下、平均年齢24歳の若手技術者らがICT施工やCIM、3Dプリンターなどを活用した先進的な施工に取り組んでいる。盛り土を施工する「アデムウォール工法」では、3Dモデルを作成し、AR(拡張現実)を用いて材料の過不足を確認。3Dモデルを隣地境界との干渉の可視化や発注者との合意形成などにも役立てている。
吉村建設工業の吉村成一取締役は「建設用3Dプリンターは少量で複雑なものを造るのに向いており、プレキャストと現場打ちの間を埋める技術だ。現状ではオンサイトでの施工は非常に難しいが、実現すれば真の意味で建設業やものづくりのやり方が変わる。スピード感を持ってさまざまなことにチャレンジしていきたい」と抱負を語った。










