日本工営と東京海上グループの海外連携プロジェクトが始動した。初弾はマレーシアで展開。日本工営の災害シミュレーション技術を活用し、3Dマルチハザードマップを作成して気候変動リスクを可視化する。東京海上グループはリスク対応策として、現地の日系企業などに保険活用を促し、事業機会の創出を狙う。東京海上ホールディングス(HD)がID&EHDと推進する「民間防災コンサルティング」事業の一環だ。
経済産業省から受注した「マレーシア国日本企業の事業展開に係るソフト防災対策を軸とした環境整備マスタープラン策定等調査業務」では、日本工営が幹事法人を務め、東京海上HDの事業会社で防災・減災事業を担う東京海上レジリエンス(東京都千代田区、生田目雅史社長)が共同申請者として参画する。
業務の履行期間は5月1日~2026年2月28日。東京海上日動火災保険が事務局を務める防災コンソーシアム「CORE」に参加している建設や情報通信など125社、日本工営のマレーシア現地法人・日本工営モビリティも協力する。
東京海上グループの知見を生かし、保険を起点とした防災ソリューションを検討。都市部を対象に3Dマルチハザードマップを整備する。これらの技術を事業化するため、マレーシアの法制度やステークホルダー構造に適合する実現性の高い事業計画を策定する方針だ。
気候変動による災害が多発する同国では、実用的なハザードマップやリスクマップが未整備で、災害が経済損失や日系企業の被害に直結している。
日本工営は高精度の被災・被害シミュレーション技術を持ち、政府開発援助(ODA)案件や東南アジア諸国連合(ASEAN)圏での災害リスクマネジメントの実績を生かし、高度な3Dマルチハザードマップを構築する。
マレーシアは損害保険の普及率が高いものの、支払保険金は小規模にとどまる。東京海上グループはハザードマップによるリスクの「見える化」を踏まえ、保険の積極的活用を働き掛ける。ソフト防災に必要な技術要件や精度を明確化し、マレーシアの経済基盤を下支えする保険商品の開発につなげる考えだ。
日本工営が中核事業会社のID&EHDは、東京海上HDによるTOB(株式公開買い付け)を経て5月15日付でグループ入りした。









