建設分野の育成就労運用ルール固まる/国交省検討会が提言、「キャリア育成」に重点

2025年11月18日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 2027年4月の「育成就労制度」の開始を見据え、建設分野で就労する外国人材の受け入れ政策を検討していた国土交通省の有識者会議が提言をまとめた。育成就労外国人の本人意向の転籍を制限する期間を「当面2年」にするなど、建設分野独自の運用方針に盛り込む内容を固めた。外国人材の中長期的なキャリア形成と、地域共生の取り組みの推進にも重点を置く。受け入れ企業には各社の事情や職種の特性に応じ、個々の育成就労・特定技能外国人の「キャリア育成プラン」の作成を促す。=2面に関連記事
 12日に開いた「建設分野の外国人材育成・確保あり方検討会」で提言を了承した。出入国在留管理庁と厚生労働省が設置する別の有識者会議で検討している産業分野別の運用方針の議論に生かしてもらい、12月の策定・閣議決定につなげる。具体的な制度に落とし込む国交省の対応も求める。
 育成就労の転籍制限期間は、専門技能の習得や安全対策の理解に一定の時間が必要な建設業の特性に配慮した。離職率が高い地方部での定着を促す狙いもある。将来的に「1年」への短縮を目指す。運用状況を踏まえて短縮を検討する方針で、入管庁らの有識者会議で示す運用開始3年後などが見直し時期の目安となる。
 特定技能の運用方針に盛り込む上乗せ措置なども改めて提示した。適正な制度履行のルールに従わない企業に対するペナルティーの検討も打ち出す。
 キャリア育成プランは技能習得や資格取得の目標設定などをロードマップとして可視化する。まずはプラン作成の参考になる職種別の「モデル例(ひな形)」を各専門工事業団体が作成・公表することを想定し、国交省が各団体の検討を後押しする。
 外国人材の技能や経験を評価しキャリア形成に結び付けるため、建設キャリアアップシステム(CCUS)に就業履歴を着実に蓄積する環境も整える。国交省はCCUSのカードタッチで外国人材の在留資格・期間をチェック可能とするシステムの開発に乗り出す。
 12日の会合で楠田幹人不動産・建設経済局長は、外国人共生が政府の重要テーマになる中で「建設分野もしっかり取り組まないといけない。地域共生にも力を入れることが大変重要だ」と指摘した。提言では建設技能人材機構(JAC)による日本語などの教育支援や異国での生活支援などの展開を挙げている。