JAPIC関西/大阪環状ベイエリア構想を提言/自然資本を生かし“エリアの再輝”を

2025年11月18日 行政・団体 [12面]

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 ◇地下物流幹線など提案
 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)関西委員会(委員長・矢ケ部昌嗣日本製鉄参与大阪支社長)は、人流・物流の拠点として重要な役割を担う大阪湾岸部に着目し、インフラ整備などを通じて関西の発展につなげる提言書「自然資本で再び輝ける新たな拠点へ~大阪環状ベイエリア構想~」をまとめた。脱炭素時代を迎え、物流倉庫などが集まる湾岸部の地下に自動物流幹線を構築する提案など、六つのプロジェクトを提言。14日、矢ケ部委員長らが近畿地方整備局を訪れ、齋藤博之局長に提言書を手渡した=写真(JAPIC提供)。
 提言は兵庫県の淡路島を含む「大阪環状ベイエリア」に焦点を当てた。人流・物流の大動脈を担う高いポテンシャルを持ち、大阪・関西万博などを背景にイノベーション機運も高まりつつある中で「持続的なイノベーションの拠点」と「カーボンニュートラル時代の新たな生活・産業スタイルの拠点」の実現を目指す構想とした。
 大阪環状ベイエリアでは既存機能を強化しつつ、自然資本を生かした“エリアの再輝”を展望。経済活動と自然再生との共存(ネイチャーポジティブ)や自然共生型の安らぎの場所(ウェルビーイング)、ヒトやモノが流れる場(スマートインフラネットワーク)をキーワードに掲げた。
 各テーマに沿った提言は▽水運振興による親水機会拡大と施設整備▽GXの推進▽藻場の再生など自然共生エリア拡大による環境改善▽分散型、フレキシブルな滞在施設の充実▽湾岸道路の充実による効率的・機能的な物流幹線の整備▽脱炭素時代にふさわしい物流幹線・ネットワークの構築-の6項目となる。
 水運振興では小型のEV船(電気推進船)や水素船を活用した水運の復活や淡路島航路を含むベイエリア全体を満喫できる航路の整備を提言。GX関連では水素など脱炭素エネルギーの受け入れや貯蔵供給、製造の西日本拠点を目指す。将来を見据え、空飛ぶクルマやEV船の活用に向けた蓄電・給電基地、離着陸基地の戦略的な配備なども提案した。
 スマートインフラネットワークについては脱炭素化や省力化に向け、関西空港から大阪湾岸に沿って神戸空港方面に向かう自動物流幹線(地下トンネル)を構築。水素などが搬送できるエネルギーパイプラインの整備も提案した。地下物流幹線は地上港湾と直結させ、トラック台数を減らすなど環境負荷低減に貢献する。また、工事が進む大阪湾岸道路西伸部の早期完成、淡路島を結ぶ紀淡海峡連絡橋の検討など道路ネットワークの強化も盛り込んだ。