民間工事の休日取得、不動産業など実態改善/工期変更費用の適切転嫁を/国交省調査

2025年11月20日 行政・団体 [1面]

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 建設会社が2023年12月以降に請け負った民間工事を対象に、現場従事者が実際に取得できた休日を国土交通省が調査したところ、4週8休以上を取得できたとの回答は26・6%だった。1年前の前回調査と比べ4・5ポイント上昇し、休日の取得実態は改善している。特に、発注者の主要な業種となる「不動産業」の工事では4週8休以上が17・5%(前回調査は9・0%)、「製造業」の工事は26・8%(19・3%)と改善が顕著だった。
 24年度の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の一環で、25年1月時点の個別工事の実態を建設会社に聞いた。「工期変更がなかった工事」と「工期変更があった工事」で各741件の計1482件の回答を集計。22年12月以降に請け負った民間工事を対象とした前回調査と結果を比較した。
 工期変更がなかった工事では4週6休が33・2%(35・5%)で最多。ただ4週8休以上が28・3%(25・3%)、4週7休以上が12・7%(10・2%)と休日が多かった現場が増えている。工期変更があった工事でも4週6休が35・8%(37・8%)で最も多いが、4週8休以上が24・8%(17・4%)、4週7休が13・1%(10・9%)と伸びている。
 調査で2桁以上の工事件数の回答があった10業種に分けて見ると、4週8休以上だった工事の割合は多い順に、▽運輸・交通=40・0%▽電気=38・2%▽小売り=33・3%▽サービス業(小売りや飲食を除く)=27・6%▽学校教育=27・0%▽製造業=26・8%▽宿泊・飲食=24・2%▽不動産業=17・5%▽住宅メーカー=16・5%▽医療・福祉=12・5%-だった。
 調査結果からは、工期変更を要因に増加した労務費や経費の価格転嫁の必要性も浮き彫りとなっている。工期変更があった工事で工事費が増加したのは46・8%。そのうち価格交渉で増加費用がすべて認められたのは51・9%だった。工期変更の理由や、原因主体はさまざまだが、労務費や機械経費、材料費の増加を伴うケースが多くある。価格交渉で全く転嫁が認められなかったのは2・6%で、前回調査の6・6%からは減少した。まずは受発注者間や元下間で価格交渉を適切に行うことが一層求められる。