国土交通省の佐々木紀副大臣は19日に、遠隔施工のデモンストレーションを視察した。遠隔操縦システムは大林組が開発した「サロゲート」を使用。東京・霞が関の省内DXルームに設置した操縦席から、石川県能登半島の災害復旧現場にあるバックホウを遠隔操作する様子を見学し、同社職員らに熱心に質問を投げかけていた。
サロゲートは、既存の重機の操縦室に設置し、遠隔操縦を可能にする装置。国交省内のDXルームに操縦装置を設置し、300キロ以上離れた輪島市曽々木・渋田地区の地すべり緊急復旧工事の現場に持ち込んだバックホウで掘削などの操作を実演した。佐々木副大臣は「実際と比べて操作に違和感はないのか」などと質問。オペレーターが「はじめは遠近感をつかみづらいが、慣れてくれば操作に支障はない」などと答えていた。実際の現場施工では、千葉県君津市にある同社の協力企業事務所内に仮設の操縦席を設置し、安全な場所から現場に持ち込んだバックホウやキャリアダンプを操作した。
サロゲートは、持ち運びや設置が簡単で、手軽に建機を無人化できるのが特長。6月までに22現場での導入実績がある。接続先の切り替えが容易で、一つの操縦席から全国の複数現場の施工をこなすこともできる。デモでは、通信システムにソリトンシステムズ製の「Zao Cloudサービス」を採用し高速、大容量の通信を実現した。通信速度は上り下りともに25メガbps以上を確保。既存の携帯電話通信網ながらも遅延を最大500ミリ秒程度に抑えた。








