今年は話題の映画が多く公開され、劇場によく通った。中でも日本映画が豊作で、アニメ映画「鬼滅の刃」は全世界での累計興行収入が1063億円を超え、「名探偵コナン」は上半期で唯一100億円を超える興行収入を記録した▼歌舞伎をテーマにした実写映画「国宝」は歴代実写日本映画で2位の興行収入を達成。180分という今の時代にしては圧倒的に長尺となる実写映画だが、多くの人に支持された。これらは観客の心を掴み、名作と呼ぶにふさわしい作品といえよう▼中国メディアが、中国で間もなく予定されていたアニメ映画「クレヨンしんちゃん」の最新作など邦画の公開が延期となったと報じた。高市早苗首相の台湾有事発言を巡る摩擦が娯楽産業にも飛び火した格好だ▼中国では今月14日に鬼滅の刃の映画が公開されたばかり。わずか4日間で興行収入が4億元(約87億円)に迫るヒットとなっているが、今後、日本映画をボイコットする動きが広がる可能性もあるだろう▼日中両政府の歩み寄りがない中、対立の長期化を懸念する声も上がる。だが相互理解につながる文化の交流は絶やしてほしくない。






