東京都/日比谷公園大音楽堂改築/延べ7100平米、27年春着工へ

2025年12月2日 工事・計画 [4面]

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 東京都は日比谷公園大音楽堂(野音)の改築で、新たな音楽堂建設を2027年春に着工する方針を固めた。老朽化やバリアフリーへの対応のため、客席や周辺と一体的に再整備する。ステージの向き変更や防音壁の追加により、周辺への音漏れ低減にも配慮する。規模は3階建て延べ約7100平方メートル程度となる。30年春の完成を目指す。基本・実施設計は翔設計が担当している。
 先代の日比谷公園大音楽堂は、1983年に完成。23年から使われていた初代から数えて3代目だった。「音楽の聖地」と呼ばれ、90年代のバンドブームでは後にメジャーとなる新人バンドの多くが野音から羽ばたいていくなど、象徴的な場所となった。ただ施設の老朽化が著しく、恒常的な雨漏りや建具の開閉不良が発生。設計が古いためバリアフリーへの配慮が不十分で車椅子用のスロープやエレベーターがないなどの課題もあった。
 新たな音楽堂はSRC造3階建て延べ7171平方メートルの規模。東京都千代田区日比谷公園1ほかの現在地で建て替える。既に解体工事は着手済み。杭は現場造成杭を採用する。楽屋は2部屋から7部屋に増加。倉庫も拡大する。バックヤードを2カ所に増やし祝田通りから大型車2台が同時に荷物の上げ下ろしできるようにして、出演者の入退場や機材の搬出入を効率化する。
 観客席は新たに2階観覧エリアを設け、立ち見を含め先代と同程度の約3000席を確保。祝田通りと並行しているステージ中心線を日比谷公園の中央方向である東寄りに振るとともに観客席外周部の防音壁を2階部分までかさ上げし、公園外への騒音を低下させる。防音壁は透明スリットを設け圧迫感を減らす。敷地内樹木は可能な限り残置する。