東京都は、東京港の中央部に位置する10号地その2地区で、岸壁などの再整備を本格化する。2024年8月に策定した「第9次改訂港湾計画」に基づき、内貿埠頭の岸壁で耐震化に着手する。同地区の南端にあるフェリー(多目的)岸壁の機能強化も検討する。内貿埠頭岸壁は耐震化に合わせて型式を桟橋構造に変更する予定。フェリー岸壁は機能強化を含めた必要な改修内容を探る。施工方法などを検討し早期着工を目指す。
10号地その2地区は、都が「東京港10号地その2地区国内物流ターミナル整備事業」に基づき、内貿・フェリー岸壁を整備している。内貿埠頭では、最も北側に位置するV1、V2岸壁を耐震強化岸壁に改修。延長は二つの岸壁と取り付け部60メートルを含め合計約520メートル。既存の棚式・セル式岸壁(水深7・5メートル)を改築し、海側に約10メートル張り出す桟橋構造(水深9・0メートル)にする。前面泊地(約5万平方メートル)の増深も実施する予定だ。今後、埠頭利用者へのヒアリングや施工方法の検討を実施する。
フェリー岸壁は南からVAA、VAB、VAC、VADと呼ぶ四つのバースがある。再整備でVA1とVA2の2カ所にする計画。既にAVCを改修・延伸しVA2として再編する工事を実施している。都はVADを対象に改修を検討する。現在の岸壁延長195メートルに対し、係留可能な最大船型を含めた3案程度の具体的な係留船舶を想定し、必要な機能を調べる。
地震を想定した岸壁の安定性も検討。控え式鋼管矢板護岸など3形式で必要な性能が確保できるか検証する。機能向上や岸壁改修が必要と判断した場合、工事に向けた検討に入る。
都は主に国内向け貨物を扱う同地区を、東京都地域防災計画(震災編)で海上輸送基地に位置付けている。岸壁や埠頭用地などの再整備で、船舶の大型化に対応しつつ、首都直下地震など大規模災害発生時の物資輸送機能を確保する。







