話題の技術/丸高工業/消音工事技術「サイレントシステム」

2025年12月3日 技術・商品 [3面]

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 ◇工事騒音低減し改修需要照準
 建築物の改修を手掛ける専門工事会社・丸高工業(東京都品川区、高木一昌社長)が開発した消音工事技術「サイレントシステム」の引き合いが増えている。工具の改良や仮設消音壁の設置で工事騒音を低減し、振動や粉じんも抑制。これまで利用者の少ない土日に限られていた作業時間が大幅に拡大でき、現場の労働環境や作業生産性を大きく向上させる。建築費の高騰や老朽化した建物の増加を背景に、改修需要の取り込みが期待される。
 高木社長は「サイレントシステムは、ほとんど気にならないレベルの消音工事を実現する」と胸を張る。導入件数は年々増加しており、2018~24年度で累計250件以上となった。
 同社は開発に当たり、131項目の騒音作業を抽出し、それぞれの騒音発生原因を分析。音の発生を防ぐ方法を検討してきた。「消音工具」として、サイドライバーやボードカテックスなどの打撃音を抑える改良を施し製品化した。さらに「仮設消音壁(サイウォール)」で空気伝播(でんぱ)音を遮断し、工事区画単位で設置。これらの組み合わせで快適で効率的な改修工事を実現する。
 消音工具を使用すると、騒音は通常の会話やチャイム音程度の60デシベル以下に抑えられる。仮設消音壁を設置すれば、ささやき声程度のほぼ聞こえない30デシベル以下まで低減可能だ。
 東京都港区の複合ビルで施工した内装仕上げ工事では、土日に限られていた作業が平日昼間も可能となり、工期を45%短縮した。横浜市のホテルの内装改修では、客室の営業停止を最小限に抑えながら作業が可能になった。
 同社はゼネコンや協力会社に対し、施工計画に基づき必要な工具の数量や作業手順を提案。必要に応じて技術指導や技術指導員の派遣も行う。発注者向けには、サイレントシステムに関するアドバイザリー業務も展開する。
 平日午前9時30分~午後4時30分、東京都豊島区の「サイレントシステムセンター」で、従来工法との音の違いを体感できるツアーを開いている。完全予約制で1人から20人まで対応。多くの受発注者が訪れている。
 高木社長は「建設業界を革新する可能性を秘めている。一人でも多くの方に、工事の音を静かに変えるサイレントシステムを体感してほしい」と呼び掛ける。