財政審建議/老朽化対策、国土強靱化推進を/上下水道は広域・一体化必要

2025年12月4日 行政・団体 [2面]

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 財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)が2日、2026年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。社会資本整備はインフラの老朽化や自然災害の激甚化・頻発化が進む中、国土強靱化を着実に進める必要があると提言した。上下水道事業を巡っては、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け事業の広域化・一体化、ウオーターPPPの導入推進が必要だと指摘した。
 事故発生時に社会的影響力が大きい上下水道管路の更新やリダンダンシー(冗長性)確保を適切に進めるべきだと指摘。単なる補助率の引き上げや要件緩和だけでは無く、国と地方の役割分担の観点から制度のあり方を整理する必要性があるとした。
 社会資本整備は人口減少を見据えた持続可能性を重視するよう提案した。現在のインフラ総量の維持にとらわれることなく、住宅、医療・福祉・商業施設の誘導、地域公共交通ネットワークを再編する「コンパクト・プラス・ネットワーク」を強化することの重要性を主張。都市の無秩序な拡散を抑制し市街地の人口密度を維持するため、立地適正化計画を見直すよう求めた。
 整備新幹線の事業費について、物価が1%上昇した場合の影響などの情報をあらかじめ示したり、建設費増加の影響を貸し付け料に加味で踏まえたりする必要があるとした。
 学校整備は、将来の生徒数の見通しを踏まえ規模の適正化を進めることが重要だとした。自治体の個別施設計画に統廃合の方針の記載を求めることが必要とした。政府開発援助(ODA)は戦略的・効率的な活用を求め、「当面の予算抑制を図りながらも一層の実効性の向上が可能」と明記した。