西日本高速道路関西支社が京都府宇治田原町内で進めている新名神高速道路宇治田原トンネル工事(上下線各約2キロ)のうち、戸田建設が施工する東工区(下り線)の掘削が完了し、反対側の西工区(施工=鹿島)に無事到達した。上り線は3月に貫通しており、掘削開始から約6年の歳月を経て、上下線ともにトンネルが1本につながった。開通に向けた大きな一歩を祈念し、3日に東工区(下り線)の坑口付近で貫通式が盛大に行われた。
宇治田原トンネルは新名神大津~城陽間25キロのほぼ中間に位置する。3車線の大断面トンネルで、延長は上り線1984メートル(東工区1162メートル、西工区822メートル)、下り線1924メートル(東工区832メートル、西工区1092メートル)。戸田建設が施工する東工区では2019年12月に上り線から順次掘削を開始した。途中、断層破砕帯や軟弱地山に遭遇し困難を極めたが、持てる技術力や知見を生かしながら補助工法に工夫を凝らすなど課題を克服していった。3月19日に上り線、10月23日に下り線がそれぞれ全線貫通を迎えた。
貫通式には関係者ら約150人が出席。西日本高速道路関西支社新名神京都事務所の緒方直所長と勝谷聡一宇治田原町長、京都府山城北土木事務所の田村猛所長が発破点火を行った後、関係者が貫通点通り初めを行い、固い握手を交わして貫通を祝った。
緒方所長は「大断面の掘削は難度が高く、施工者の皆さまには安全と品質を最優先に昼夜を問わず懸命な努力を重ねていただいた。今回の貫通は地域の発展と安全で安心な交通ネットワークの実現に直結する。一日も早い開通を目指し努力していく」とあいさつ。勝谷町長の祝辞に続き、樽(たる)酒を乗せたみこしが「ワッショイ」の掛け声とともに入場し、法被姿で関係者が鏡開きとくす玉開披を行った。
最後に戸田建設の和久田吉朗常務執行役員大阪支店長が「断層破砕帯や軟弱地山区間など切羽条件が刻々と変化する難しい掘削だった。発注者のご指導の下、協力会社と一丸となって安全・品質・工程管理や環境保全に全力を注ぎ、本日を迎えることができた。今後覆工工事が本格化するが、気を緩めず最後まで安全最優先で工事を進める」と決意を語った。
□三上英明作業所長(戸田建設)の話□
「地山不良が続くなど一筋縄ではいかなかった。発注者のお力添えもいただきなが難度の高い掘削を無事に完了できた。一生記憶に残る工事になるだろう。一層気を引き締め、残る工事を無事に完成させたい」。







