神奈川県鎌倉市の市庁舎移転・新設計画が足踏み状態にある。市は現庁舎の老朽化などを理由に深沢地区への移転を計画したが、市議会の反対で頓挫。折衷案として現庁舎と新庁舎に機能を分散する「両輪体制」を打ち出した。移転・新設を前提に日建設計で進めていた新庁舎の基本設計は中断したままだ。松尾崇市長は議会との調整が見通せなかったことから、2025年12月の市議会定例会に上程予定だった設計再開などに必要な移転関連予算案の提出を見送った。まちづくり計画部市街地整備課によると、今後のスケジュールなどは未定としている。
市は現庁舎の老朽化や耐震性能、狭さなどを理由に、庁舎を湘南モノレール湘南深沢駅に近接する深沢地区に移す計画を打ち出し、22年に「新庁舎等整備基本計画」を策定した。だが市議会は同年、庁舎移転に必要な位置条例の一部改正を否決した。その後も可決に必要な3分の2の賛成が見込めず、市は現庁舎と深沢地区に分散化するプランに方針転換した。
市は25年12月10日に、市庁舎を現庁舎と深沢地区の2カ所に分けて整備する「両輪体制」の方針を策定した。現庁舎に市長室、市議会、総務などの意思決定機能を残し、それ以外の部門を深沢地区に建設予定の新庁舎に移す計画。現庁舎は老朽化や耐震性能などを考慮し建て替え・新築を前提に検討する。本庁舎(現庁舎)の位置は変更しないため、位置条例の改正は必要ない。新庁舎は27年度以降に実施設計などの委託先を公募し、33年3月前後の開庁を想定。現庁舎は新庁舎の開庁後に工事着手し、36年ごろの開庁を計画している。
この方針は、中断中の基本設計の契約変更や作業スケジュールの考え方を踏まえ、予算など市議会の承認を得た上で進めることが前提になる。昨年の12月議会に関連予算案を提出できなかったことで、今後のスケジュールなどは見通しがつかなくなった。
現庁舎(御成町)は市政の意思を形成する議会や政策判断機能、企画、総務、観光、文化財関係などの機能を置く。災害対策本部と津波時の避難者受け入れ機能、民間機能なども配置する。想定規模は地下1階地上2階建て延べ約1万3160平方メートル。内訳は庁舎3000平方メートル程度、図書館・学習センターは約8390平方メートル、民間機能は余剰面積。職員数は100~200人程度(構成比約20%)。概算施設整備費は約140億円と見積もっている。
新庁舎(深沢地区寺分)には税、防災、産業、子育て、福祉、環境、建設、教育、消防などの部署を置く。リスク分散として新庁舎にも災害対策本部を設置する。避難者受け入れ機能は検討中。想定規模は5階建て(免震構造)延べ約2万4300平方メートル。内訳は庁舎約2万平方メートル、消防約3000平方メートル、図書館・学習センター約1300平方メートル。職員数は600~700人程度(構成比約80%)。概算施設整備費は約170億円と見積もっている。
深沢地区周辺では32年度にJR東海道線の新駅「村岡新駅」が開業を予定する。鎌倉市と新駅ができる藤沢市が周辺一帯で新たなまちづくりを計画している。








