マンションの大規模修繕工事を手掛ける繕(東京都足立区、葭葉恒成社長)が独自の教材を活用した人材育成に取り組んでいる。「大規模修繕の教科書」を建材メーカーの監修で制作。若手社員の知識定着に加え、社内ルールの標準化や現場負担の低下に役立てている。取り組みが評価され、2025年には都の中小企業技能人材育成大賞知事賞で大賞に選ばれた。
同社は発注者と施工者を「同じゴールを見据えた関係」と捉え、丁寧な説明で信頼を積み重ねている。教科書は技術編と営業編の2種類がある。技術編は修繕のポイントを工種ごとに解説。現場で飛び交う専門用語や各工種の目的も説明している。専門知識がない人でも、工程が理解できるよう工夫。営業編はプレゼンテーションのこつや書類の書き方などを盛り込んでいる。海外顧客との商談では、前もって通訳に読んでもらい、相互理解の助けにする。若手社員からは「いつでも見返せるので、積算や見積もり作成時に疑問点を解消できる」と好評だ。
葭葉社長の経営哲学は「社員づくりこそが会社づくり」。現場の負担軽減や属人化の解消に向け、教科書を使って若手研修を実施している。つまずきやすいポイントを丁寧に解説。「安心して仕事に取り組める環境」づくりに役立てている。「社員がブランド」を理想に掲げ、人で選ばれる会社を目指す。今後は人事評価制度も見直し、エンゲージメントのアップにつなげる。
老朽化する建物が右肩上がりで増える状況にあって、大規模修繕は「建設業の中でも今後特に需要がある成長産業」と葭葉社長。ただ「参入の障壁が低く、他社との差別化が難しい」ことも事実だろう。自社の強みを生かし「災害に強いマンション」など、訴求効果のある修繕提案で受注拡大を狙う。
同社はインフラ企業や物流倉庫などの修繕もターゲットにしている。公共工事の施工を通じた受注先の拡大も視野に入れる。「単なる営繕を超えた、リニューアルゼネコンを目指す」考え。
各部門の技術力向上が事業拡大の素地になる。人材育成に加え、首都圏以外でも事業を展開。「パートナー企業との連携をさらに強める」ことで、24年度に32・7億円だったグループ売上高を、30年度までに50億円へ引き上げる。
●繕
□本社=東京都足立区六町2の6の27
□電話=03・5851・7570
□ホームページ=https://zen-re.co.jp/
【会社概要】
東京都足立区で2002年に創業。マンション・ビルの大規模修繕など、建設改修工事を専門とする。ISO9001認証取得。責任施工体制による一貫した高品質施工を実現している。








