首都直下地震/デベロッパー各社の動向/一時滞在施設を整備、帰宅困難者の安全確保

2026年1月23日 企業・経営 [4面]

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 中央省庁や企業本社が集まる東京の中心部は、災害時に最も多くの帰宅困難者を抱える地域でもある。大地震が発生すれば、大規模なオフィスや商業施設が集積するエリアで、人の滞留と安全確保をどう両立させるかが問われる。政府は2025年12月に首都直下地震の被害想定を更新。まちづくりを担うデベロッパーは、東日本大震災の教訓を生かし、一時滞在施設の整備など、都市の受け止め力を高める取り組みを進めている。
 三井不動産は、災害時にどういう対応が必要か行政と話し合いを続けている。東京駅(千代田区)近くにある大規模複合施設「東京ミッドタウン八重洲」では万が一の事態が発生した時、ロビーなどオープンスペースに約1500人を受け入れる。同じく複合施設の「東京ミッドタウン日比谷」(同)は、災害用備品を保管する備蓄倉庫を備え、約3000人が収容可能な体制を整えている。
 港区を中心にまちづくりを展開している森ビルは、「逃げ込める街」の実現を目指している。新たなグローバルビジネスセンターとして開業した虎ノ門ヒルズのうち、「森タワー」に約3600人、「ビジネスタワー」に約1000人、「ステーションタワー」に約500人、「グラスロック」に約100人分の一時滞在施設を設けている。
 六本木ヒルズには約10万食を保管。災害時に約5000人を受け入れる体制を整えている。麻布台ヒルズは約3600人の受け入れスペースを確保している。
 大手町・丸の内・有楽町(大丸有)地区などで再開発を手掛ける三菱地所は、▽丸の内ビルディング(千代田区)▽新丸の内ビルディング(同)▽大手町フィナンシャルシティグランキューブ(同)-でそれぞれ約1000人の受け入れが可能だ。
 千代田区の丸の内エリアの地下には、複数のビルの空調などで使うエネルギーを供給する洞道が通っている。深さは約30メートルで地震の影響を受けにくい。洞道には電力線、通信線なども収めてあり、災害時もまちの活動を支える。
 東京建物はオフィスビルが立地する自治体と協定を締結し、災害時に帰宅困難者を受け入れる。東京スクエアガーデン(中央区)や大手町タワー(千代田区)、Hareza池袋(ハレザ池袋、豊島区)などが対象だ。分譲マンションを建てる時には地元自治体と連携し避難スペースを設けている。
 首都直下地震の発生が現実味を帯びる中、都市は「働く場」や「集まる場」であると同時に、人を守る器であることが求められている。デベロッパー各社の取り組みは、帰宅困難者対策を個々の建物にとどめず、エリア全体で支え合う都市防災へと発展させる試みだ。官民の連携を深めながら、災害時でも都市機能を維持できるまちづくりが、東京の持続性を左右する。