◇土木エンジニアとチームで構想具体化
子どもの発想は無限大--。土木学会(池内幸司会長)主催の「未来の土木コンテスト2025」で小学生が転がる家や山の内部を丸ごと街にするなど既成概念にとらわれない自由な街づくりを提案した。コンテストの選考委員長を務めたタツナミシュウイチ氏(東京大学大学院客員研究員、常葉大学客員教授)は、「決してファンタジーではない」と未来の街づくりに期待を示した。小学生の描く未来予想図は実現できるのか。
未来の土木コンテストは、「未来プランナー」として1次選考を通過した優秀賞受賞者の小学生がゼネコンに勤めるプロの土木エンジニアとチームを組み、エンジニアが技術面で検証。環境やエネルギー、構造、施工、システム面でブラッシュアップし、さまざまな切り口からアプローチした。子どもの構想を土木技術で具体化していった。
8日に東京都内で最終選考会を開いた。選考委員は、タツナミシュウイチ氏を委員長に、佐々木葉(早稲田大学教授)、深瀬尚子(土木技術者女性の会副会長)、眞鍋政彦(日経BP日経コンストラクション編集長)、小松淳(土木学会土木広報センターセンター長)の4氏が務めた。
最終選考会では葵晴友希さん(東京都品川区立大原小学校3年生)が「リサイクルシティー~マンホールと下水道をりようしごみがさいりようされる~」を提案。演劇風にプレゼンテーションし、ごみがどのようにリサイクルされ、どんな製品に生まれ変わるかを説明した。マンホールがダストシュートのような役割を果たし、下水道を通じてごみを収集する仕組みを考えた。ごみの分別にはAIロボットを活用した。再資源化された材料をドローンやトラックで製品工場に届ける。街全体でごみを減らし循環型のリサイクルシティーの実現を目指した。
墫優佳里さん(山形県米沢市立東部小学校5年生)は「山と雪を活かした街づくり~私が目指す土木技術者の道~」と題して山の内部をかまくらのような空間として活用する街づくりを創造した。目的別に▽農業と住民の山▽住民と学校の山▽ショッピングの山▽融合の山-の四つの山を建設することを提案。内部での生活は熱交換設備を組み込み、雪と地熱を有効利用することで年間を通して快適な室温を保つ。雪解け水を農業や生活用水に活用することで山内部の生活課題を解決した。
兒玉紗知さん(埼玉県越谷市立大沢北小学校6年生)は「サステナブル・セーフシティ」として「循環と共生」「安全と移動」の二つをコンセプトに未来都市を考えた。循環と共生では、小学校の階段を魚道にし、魚の養殖と水耕栽培を融合した、次世代の有機循環型農法「アクアポニックス」を行う。「奥多摩にある白丸ダムを見て小学校の階段でできたら面白そう」と思ったのがきっかけという。
竹内瑶絵さん(兵庫県宝塚市立仁川小学校6年生)の提案は、「まんまるハウスが集う移動できるまち~コロコロ転がり関わり合う~」。転がって移動できる球形移動式住宅「コロリンハウス」で防災や安全、利便性向上を実現する。各家庭で蓄電池やソーラーパネル、バイオガス処理設備の設置など環境対策も考えた。転がる家を実現するために、ベアリング構造と電磁石で室内の水平維持と、振動を抑制することで実現可能とした。
厳正な審査の結果、最優秀賞には竹内さんと土木エンジニア4人のチーム竹内による「まんまるハウスが集う移動できるまち~コロコロ転がり関わり合う~」を選定した。優秀賞はチーム葵、チーム墫、チーム兒玉が受賞。チーム葵はFacebookいいね賞にも選ばれた。
4チームには、22年度大会のコンテストで最優秀賞を受賞した川戸亮輔さんが表彰状と記念品を手渡した。川戸さんは「どの発表もとても魅力的でわくわくした。AIが提出されているチームがとても多く新鮮だった。皆さんには、中学生になっても自分の夢を発表する自信を失わずに活躍してほしい」とエールを送った。
タツナミ委員長は「非常に優劣付け難い審査だった。内容やアイデアもそうだが具体化した説得力がある。大人が思いつかないアイデアを子どもたちは平気で出してくる。つい大人は新しいプロジェクトを考えるときに、予算やヒューマンリソース、スケジュール、収益などを考える。その縛りが大人の自由な発想、アイデアを阻害している。子どもの発想にどれだけ大人が寄り添えるか。子どもたちには今のままの発想でいてほしい」と講評した。






