公募型プロポーザルで民間事業者を選定するPFI事業で、予定価格の作成を後にする地方自治体が増えてきた。内閣府民間資金等活用事業推進室の調査によると、募集手続き公示前の作成が120件を超えている一方、公示後や優先交渉権者の選定後、契約直前の作成が50件を超えていた。予算の制約がある中で、提案重視の事業者選定を優先する考えや、物価上昇の影響をとどめる意向が背景にある。
下水道管路の管理・更新と、下水処理場の運営を分け、ウオーターPPPとして2件のPFI事業を進めている神奈川県葉山町。管路は工事費の上限額などを含めた「提案参考額」を示した上で民間事業者を募集し、2月に事業契約を締結した。予定価格は優先交渉権者選定後に設定した。工事業務について、受発注者で合意した比率を積算に乗じ、最新版の単価を毎年度反映させる総価契約単価合意方式(葉山方式)を採用し、契約の柔軟性を高めた。担当者によると、数量を確定した上での発注が困難な事業内容なのに加えて、物価の上昇局面で民間事業者を募集する必要があったという。
健康増進・交流促進施設の整備・運営を任せる「ふれあい健康センターPFI(RO方式)事業」の優先交渉権者を3月に決めた埼玉県狭山市。契約に向けて業務として実施する内容などの協議を行っている。市は優先交渉権者の提案価格や交渉内容を踏まえ、6月議会で債務負担額をはじめとする予算規模を定めた上で、予定価格を設定し、優先交渉権者との交渉がまとまれば9月議会で契約に関する議決を目指している。
募集時に「提案参考価格」を明らかにした。提案価格の上限額、失格となる提案価格、提案価格に応じた内容点を提示。提案価格が提案参考価格を上回っても提案内容が優れていれば優先交渉権者になり得る仕組みを構築した。優先交渉権者に選定された民間事業者の提案価格は提案参考価格を約7億円上回っていた。
PFI事業は、計画検討から事業者選定まで数年掛かることが多い。予定価格の設定を契約直前にするほど物価変動の影響を吸収しやすい。提案や契約の内容を重視する枠組みを整えやすいメリットもある。
政府は、一般競争入札による事業者選定を原則としているPFI法の基本方針に、公募型プロポを位置付けることを検討中。予定価格の設定時期が多様化してきており、行方が注目される。






