一関遊水地本体施設が完成/事業着手から半世紀、7月に供用開始へ東北整備局らが式典

2026年6月23日 行政・団体 [6面]

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 北上川で治水の要を担う「一関遊水地」(岩手県一関市)の本体施設が完成し、7月1日に供用を開始する。21日には東北地方整備局や岩手県などで構成する実行委員会がSWS東日本シビックホール一関(一関文化センター)で供用開始記念式典を開き、金子恭之国土交通相ら関係者約150人が参加。1972年の事業着手から半世紀以上の歳月をかけ、治水への切実な願いが形になった一関遊水地の運用を祝った。
 式典で金子国交相は「供用開始を迎えられたのは、約6900人に及ぶ地権者や周辺住民、早期完成に向け尽力した施工者など、多くの皆さんのご理解とご支援のたまものだ」と感謝を表明。増大する水害リスクに「ハード・ソフト両面から関係者が一体で取り組む流域治水を強力に推進している。東北整備局の現場力を最大限発揮し、防災・減災、国土強靱化を着実に推進していく」と力を込めた。
 達増拓也岩手県知事は「北上川治水の根幹をなす一大プロジェクトで、沿線住民をはじめ県民の大きな喜びだ」と語った。佐藤善仁一関市長は「50年前、地元には賛成・反対の両論があった。それぞれが土地や地域への思いがある中で一つにまとまり、着工に至った」と振り返った。「一関遊水地がしっかりと機能を果たし、流域の安全・安心が守られるよう万全の運用を期待する」と述べた。
 来賓の見坂茂範参院議員は「50年も前に流域治水の考え方で遊水地を計画した先人の知恵に敬意を表する」と述べ、遊水地の完成で下流の宮城県に至る流域全体の治水安全度が高まったと評価した。
 セレモニーでは金子国交相や達増知事、佐藤市長、見坂議員らがくす玉開披で参加者と喜びを分かち合った。
 一関遊水地は総面積1450ヘクタールと渡良瀬遊水地(栃木県、群馬県など)に次ぐ国内2番目の規模を誇る。築堤2万7800メートル、水門3カ所、小堤1万7900メートル、管理用通路1万4900メートルなどを整備。第1(820ヘクタール)、第2(470ヘクタール)、第3(160ヘクタール)の3遊水地で構成し、総事業費は2521億円に上る。
 一関・平泉地区は北上川の川幅が狭く勾配が緩いため河川があふれやすく、洪水の常襲地帯になっていた。1947年のカスリン台風や48年アイオン台風に伴う大水害で市を中心に多くの死者や家屋被害が発生したことを契機に計画。平常時は農耕地として利用し、中小規模の洪水は小堤と水門が連続することで水田を守る。大洪水には小堤から遊水地に越水させ、市街地への水害を防御する。
 市街地を守る周囲堤が完成し安全が向上したことで、周辺に住宅や大規模店舗、公共施設が立地。遊水地内では効率的な営農体制が確立され、最先端のスマート農業を導入するなど優良な農地に生まれ変わった。
 長田仁岩手河川国道事務所長は「北上川河川改修の歴史上で大きな節目になる」と強調。「将来にわたって機能が十分に発揮され、地域の安全となりわいを守っていけるよう適切な施設管理に努める」と述べた。