◇データ利活用拡大へ外部と連携
--建設業界のニーズや物価調査会の役割をどう認識するか。
「社会の変化のスピードや内容、幅が広がっている。中東情勢に起因する石油関連製品の欠品や単価の急変に的確に対応しなければいけない。少子高齢化やインフラ老朽化など以前から指摘されてきた建設分野の諸課題も、現実的に対応を迫られる段階に来ている。建設工事の熱中症対策や脱炭素化など、国の政策の動きや規制が入ることで、今後しっかりとした対応が求められる分野も出てくる。われわれは財団法人として社会的な課題に対応し、業界が課題を解決するための手伝いができる立場にある。蓄積してきたデータを生かし、顕在化する課題に一つ一つ対応していく」
--今後の事業展開の方向性は。
「価格調査で得た情報をコアとしながら、プラスアルファで周辺分野へのデータの利活用を広げる。利活用の幅を広げることでデータ自体の価値も高めたい。刊行物のデジタル化による利便性向上のニーズはどんどん強まっている。デジタル化には、利用者の声を聞き、できるだけ対応していくスタンスだ」
「われわれが単独で周辺分野のサービス開発を行うケースも当然あるが、他の組織・企業を巻き込み連携することも重要だ。オープンイノベーションの手法を取り入れ、積極的に展開していく。今後求められる建設工事の二酸化炭素(CO2)削減量の算定に当たって、民間企業のサービスと当会が持つデータをリンクさせるなどの取り組み例がある。建設分野の諸課題の解決を目指す大学の研究者への助成などを通じ、知見を共有、活用していく種にしていきたい」
--組織運営では何を重視するか。
「AIが急速に発達してきている。若手の職員も減る中で効率化が求められ、業務のやり方を変革する時期に来ているだろう。ただし、価格調査そのものはAIに代替できるものではない。価格は供給側と需要側の関係性で決定されており、全国各地の現場の職員が実際、人に当たって調査しなければ生データは得られない。これまで培ってきた民間の供給側、需要側の方々との信頼関係がなくして、しっかりとした価格は把握できない。これまでの協力に改めて感謝しつつ、こうした信頼関係を今後も大切にしたい」。
(むらやま・かずや)1988年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、建設省(現国土交通省)入り。2019年九州地方整備局長、21年道路局長、22年内閣官房国土強靱化推進室次長を経て23年に退官。26年4月から建設物価調査会顧問。入省1年目に工事事務所で『建設物価』などを片手に積算業務に当たった経験を振り返り、「(自らの)出発点になった工事の基礎的な部分にまた携わることができ、うれしい」。東京都出身、63歳。










