◇人が支える現場 ローカル人材とともに成長
「さまざまな挑戦の歴史があった50年間の成功は、皆の努力とチームワークに支えられてきたからだ」。ナカノシンガポールの片岡清社長はこう話し、社員をねぎらった。
2025年11月7日に現地のホテルで開かれた同社創立50周年記念式典では、入社10年以上の社員を対象に永年勤続表彰を実施。10年ごとの節目を迎えた16人に、飯塚隆社長が感謝状と記念品を贈った。このうち4人は勤続30年以上に及ぶ。より良い待遇やキャリアアップを求めて転職が一般的な海外では、こうした長期勤続は異例といっていい。
飯塚社長は「ナカノシンガポールが国籍に関係なく人を生かし、大切にしてきた経営の結果だろう。本当に感動している」と笑顔を見せた。将来、経営の中核をローカルスタッフが担う可能性にも言及した。
ナカノシンガポールの社員数は今春時点で130人余り。日本人スタッフは片岡社長ら2人にとどまる。現在施工中の大型プロジェクト3件は、いずれも日本の現場で研修を受けたローカルスタッフが指揮を執っている。
その中でも象徴的なプロジェクトとなるのが、同国南西部で施工中の大規模コンドミニアム「Sora(ソラ)・コンドミニアム新築工事」だ。同国の不動産開発会社・レイクサイドレジデンシャルから受注した。
20階建てと12階建ての2対のツインタワーで構成する合計4棟で、RC造総延べ4万0449平方メートルの規模。総戸数440戸を計画する。それぞれの最上階を緑豊かな連絡橋「スカイガーデンリンクブリッジ」で結ぶ斬新なデザインが特徴だ。
レイ・リム所長は「スカイガーデンブリッジは全体工程の中で最も難易度の高い施工箇所となる。進捗を常に確認し、設計変更や調整が必要になった場合でも余裕を持って対応できるよう、あらゆる準備を前倒しで進めている」と気を引き締める。進捗管理には、ナカノシンガポールが内製化したBIMも活用している。
スカイガーデンブリッジの施工は6月に開始した。安全に配慮して高所作業をできるだけ減らすため、事前に地上で部材の加工と組み立て、仕上げを実施。高所での手作業を最小限に抑える。
建設地は国立公園のジュロン・レイク・ガーデンに隣接し、電車・地下鉄(MRT)東西線の駅やショッピングセンターにも近い人気エリアに位置する。富裕層を中心に販売は順調に推移しているという。
現地では、ハイテク工業団地「サイエンスパーク」で、別の大規模コンドミニアム(RC造24階建て4棟、総延べ2万9380平方メートル)も施工中だ。このプロジェクトは、計画・設計段階から施工業者が関与して全体最適化を図るECIの枠組みが用いられ、シンガポールの民間工事で初めて協調型の契約(コラボレーティブ・コントラクト)が取り入られた。
この取り組みが評価され、6月にはチャンギ空港ターミナル3の事務所ビル新築工事も受注した。引き続き、同国で多様な建築プロジェクトに参画していく。








